330 GTC Speciale “Princesse Liliane de Rethy”
上365Pの翌年、またはDino206GTと同年(1967年)に作られた特別注文生産の330GTCベースのスペチアーレ。
ベルギーのレオパルド三世の妻プリンセス・リリアン·デ・レティのために注文され、その他を含め計4台が作られた。
特徴は何と言っても365Pと同様でDinoよりも大きく湾曲したリアウインドウ。
元々は、ミッドシップ車でのクーリングやキャブへのエア導入のため必然と考えたリアウインドウ垂直化と
サイドから見たクーペスタイルを両立しながらも、斜め後方視界を確保するという合い矛盾する目的を解決するために
ピニンファリーナがあみ出したデザイン手法。
左ハンドルの本車の場合、リアウインドウを2度通過後リアサイドウインドウを通過(=3回ガラスを通過)して斜め後方を視認するという
画像右下に示すような全方位での好視界確保を主眼とするデザイン。
本車はフロントエンジンなのでこの構成(垂直に湾曲したウインドウ)を採る必然性はない(=機能的ではない)のだが、
見て判るように非常にエレガントなたたずまいで、プリンセスに送るにはもってこいのスタイリングとなっている。
因みに、これに近い見え方(デザイン)を後にフロントエンジン車で取り入れたのが
ジャガーXJ-S(
http://bbs44.meiwasuisan.com/bin/read/car/1367805344/11...)なのだが、
同じような構成ながらも、使い方が違えばエレガントでもスポーティでもなくなってしまう残念な例となってしまっていた。
余談かも知れないが、全方位に視界が良いとされる本構成は、実際に運転席から斜め後ろを見た場合、
ガラスがカーブした部分では、画像左上に見るような歪んだ景色なる現実があったと想像する。
さらにこの手のスポーツカーを所望するユーザーが視認性の高さより格好良さを優先するも現実があった。
ピラーが細くやや弱々しいデザインよりピラーが太く力強いスーパーなクルマが求められていたため、
この手法が後世に長く引き継がれることは無かったのである。
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