
プラモデル作って、うつ病脱出 「模型の世界首都」静岡の挑戦
https://mainichi.jp/articles/20240307/k00/00m/040/... プラモデルを作ってうつ病から抜け出そう――。
静岡市の市立精神保健福祉施設「こころの健康センター」が2月、長期にわたって
うつ病に悩む患者の回復プログラムにプラモデル製作を導入した。
同市は「タミヤ」など主要メーカーが本社を構え、出荷額で国内8割以上のシェアを誇る。
「模型の世界首都」をうたうこの街で始まった取り組みのきっかけは、施設のトップが着目した、
プラモデルのある特性だった。
●「あらゆる感覚を刺激」
今回の取り組みが始まったきっかけは、精神科医の大久保聡子所長が2023年9月に参加した、
市役所職員有志の夜間勉強会だった。
その日の講師はプラモデル作りを趣味にしている田中一成・同市保健所長。
テーマはプラモデル作りだった。
組み立てに初挑戦した大久保所長は
「部品を切り取る音、ちくちくした感触、塗料の鮮やかな色、あらゆる感覚を刺激された」。
時間や周りの騒がしさを忘れるほど作業に没入したという。
「意図せずとも集中してしまうのがプラモデルの特性だ。
もしかして、うつ病からの回復に生かせるのではないか」。
そのひらめきには裏付けもあった。
●今、この瞬間に集中
こころの健康センターの回復プログラムの基本となっている「認知行動療法」には、
過去の失敗や未来への不安で頭がいっぱいにならないよう「今、ここにいる自分に集中する」
という方法がある。
禅の瞑想(めいそう)などから生まれた「マインドフルネス」にもつながる療法だ。
同時にセンターでは「元気だから行動するのではなく、まず行動する。やっているうちに元気になり、
外出したり人と交流したりする意欲も出てくる」という「行動活性化療法」の手法も取り入れている。
「プラモデルはいずれにも当てはまる」と考えた大久保所長は、センターでもうつ病患者を対象に
プラモデル作りの講師をお願いしたいと田中所長に依頼。
2月9日と16日の回復プログラムで初めての製作実習が行われた。
参加したのは計7人。
2日間とも約2時間半かけてアニメ「ゆるキャン△」のミニジオラマ作りに挑戦し、
キャラクターのフィギュアやアウトドアチェア、自転車などを細かい作業で組み立て、
色付けしていった。
協力し合って共同で作品を完成させた参加者もいた。
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