前述のように、公的な機関による衝突試験においては、
「追突時の後席安全性」は検査されないのが一般的です。
そのためミニバンの3列目や軽自動車の後席が、追突事故で
どの程度のダメージを受けるのかは明らかではありません。
そもそも試験が行われていないため、セダンやSUVの
後席安全性も不確かな点が多いといえるでしょう。
したがって、追突時におけるボディタイプごとの後席安全性は、
実際の事故状況から推測するほかありません。
負傷者の生じた交通事故について、ボディタイプや座席ごとに
どのようなリスクの違いが生じるか、に関する研究としては、
日本大学工学部教授の西本哲也氏らによる
「車両クラス別傷害予測アルゴリズムVersion 2021の構築」
(2021年5月自動車技術会春季学術講演会における発表)があります。
この研究発表においては、交通事故総合分析センター(ITARDA)
の扱うデータのうち、2009年から2018年に発生した死傷事故の事例を対象に、
「軽自動車」「小型乗用車」「中型乗用車」「大型乗用車」と車両クラスを区分し、
事故類型や速度変化にともなう死亡重傷率の変化を導出しています。
同研究では、前面衝突、側面衝突、後面衝突のいずれの場合にも、
クラスが小さいほど死亡重傷率が高くなる傾向が指摘されています。
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