後部座席のシートベルトは2008年の道交法改正で着用が義務化され、非着用者より死亡率は低いが、
交通事故総合分析センターによると、頭や胸の骨折、内臓損傷で亡くなるケースが多いという。
安全性が高いと思われがちな後部座席だが、車の安全に詳しい名古屋大の水野幸治教授(自動車工学)は
「正面衝突の場合、前席よりも傷害を負う危険性が高くなりやすい」と明かす。
前席のようにエアバッグを設置することが構造的に困難な上、シートベルトを正しい位置に着けないと
衝撃で胸骨やあばら骨を折ったり、腹部に食い込んで内臓を圧迫したりする。
加えて、衝突時にベルトを瞬時に引き込んで体を固定する衝撃緩和機能付きのシートベルトは、
多くの車で運転席と助手席に装備されているが、後部座席は最新車種を除いて採用例が少ない。
今回の事故で学生たちが乗っていた車も「衝撃緩和機能のベルトは後部座席になかった」(メーカー担当者)。
水野教授は「後部座席の安全性は前席ほど重視されてこなかったのが現状だ。シートベルトの着用率に加え、
後部座席の安全対策を考えていく必要がある」と訴えている。
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