メジャーなレースが市販車にとっての走る実験室ではなく「広告宣伝の場」となってしまったのはご存知
の通りだが、実はトヨタはイメージとは裏腹に「レースは勝てさえすればいい」というような思想は全く
持ち合わせていない。 それは「トヨタウェイ」に代表される実業へのフィードバックである。
トヨタウェイ
大手自動車メーカーがF1に参入する場合、既存チームを買収して技術・人材・マネージメントといった
リソースを利用するのが一般的である。ホンダの場合は、B・A・Rへのエンジン供給に始まり、2006年
から自社ワークス化している。しかし、この方法では2005年に撤退したフォード(ジャガー)のように、
オーナー(企業)と現場(チーム)の理念が一致しない場合がある。
トヨタは新規にチームを立ち上げただけでなく、「効率化(無駄よけ)」「課題の共有」「改善 (kaizen) 」
といった本業の自動車製造における成功原理(トヨタ式)をモータースポーツにも導入し、独自のスタイル
で頂点を目指そうとした。傑出した人材よりも組織の協調性を重んじ、2006年にマイク・ガスコインを
解任してからは、パスカル・バセロンら各部門の開発責任者を横並びで配置する集団体制を採った。また、
ドライバーの移籍市場でもチャンピオン経験者を積極的に採ろうとしなかった。
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