日本人は勤勉なので、戦後の焼け野原から驚異的な回復と発展を遂げたのだ――
これは、「昔はよかった名言シリーズ」の中でも、最も好まれるもののひとつです。
でもはたして、本当に高度成長期の日本人は真面目で勤勉だったのでしょうか。
ここに、『証言・高度成長期の日本』という資料があります。
これは、当時の状況を冷静に振り返った証言がつづられている、貴重な資料です。
日本人は昔から何ひとつ変わっていない、進歩も改革もないことがはっきりします。
たとえば、昭和30年代、すでに学力低下の兆しが見えていたこともわかります。
工業大学が、物理・化学を履修していない受験生が多くて困ると高校側に訴えているのです。
日本の学校教育は、以来ずっとちぐはぐなままで現在に至ったようです。
そんなことより、勤勉さの検証です。
加藤日出男さんはこう語ります。
昭和40年代には店員や職人の給料がもの凄い勢いであがりました。
そのため、苦労してつまんない職場にいるのはバカらしい、といって、
イヤな職場はすぐにやめる人が多かったのです。
また、こんな話もあります。農家の息子が家を継ぐのをいやがります。
父親は「ばかやろう、農家をやらないのか」と叱りますが、息子は都会へ出ていきました。
数年後、息子が帰郷すると、父親は農業をやめて、ドライブインのオーナーになっていました。
勤勉の象徴であるはずの農家でさえ、土地を売ってガソリンスタンドやレストラン経営に
鞍替えする例が少なくなかったのです。
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